1. はじめに:その「繰り上げ返済」、本当に正解ですか?

こんにちは、ユニマネ!のkaiです。

記念すべきブログ20記事目。 普通なら「祝20回!」とお祝いするところですが、今日はあえて、多くの大学生や社会人が忌み嫌う「奨学金(借金)」の話をします。

以前の記事(第15回)で、私はこう書きました。 「奨学金は借金だ。だから、基本的には手を付けずにプールしておく」と。

しかし、最近『JUST KEEP BUYING』などの本を読み、私の考え方はさらに一歩、深いところへ進みました。

今の私の結論はこうです。

奨学金は、絶対に早く返してはいけない。むしろ、ダラダラと長く借り続けるべきだ

え? 借金なんて早く返した方が利息が減るじゃん

借金地獄になりたいの?

そう思うかもしれません。 ですが、今の日本経済の状況(インフレ・円安)を考えると、「早く返すこと」こそが、実は経済的に損をしている可能性があるのです。

今日は、親の心配から満額借りている私がたどり着いた、「インフレ時代の賢い借金論」について、数字を使って解説します。

2. 親の「心配」が生んだ、最強のキャッシュポジション

まず、私の状況を整理します。 私は現在、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を、あえて「満額」借りています。

正直、バイト代と実家暮らしという環境を考えれば、ここまでの金額は必要ありません。 それでも借りている理由は、心配性の親からの強い要望でした。

「家にはお金がない。世の中、何が起こるか分からない。私たち(親)の仕事がどうなるか分からない。だから、低金利で借りられるお金は、確保できるだけ確保しておきなさい」

最初は「借金なんて怖いな」と思っていました。 しかし、投資を学び、経済の仕組みを知った今、私は親の判断が「金融戦略として大正解だった」と確信しています。

なぜなら、手元に「現金(キャッシュ)」があることの安心感だけでなく、「インフレ」が私の借金を勝手に減らしてくれることに気づいたからです。

3. 「10年前の1万円」と「今の1万円」は違う

ここで少し、経済学の話をしましょう。 みなさんは「インフレ(インフレーション)」を肌で感じていますか?

  • コンビニのおにぎりが100円で買えなくなった。
  • マクドナルドのハンバーガーが値上がりした。
  • iPhoneの値段がどんどん上がっている。

これがインフレです。モノの値段が上がり、相対的に「お金の価値」が下がる現象です。

例えば、今の100万円で買えるモノの量は、10年後、20年後には確実に減っています。 日銀は「年2%のインフレ」を目指しています。もし毎年2%ずつ物価が上がれば、現金の価値は毎年2%ずつ目減りしていきます。

ここまでは「貯金している人」にとっては悪いニュースです。
しかし、「借金している人」にとっては、これが最高の朗報になります。

なぜか? 借金の額面(400万円なら400万円)は変わらないのに、その「実質的な価値(負担感)」が軽くなるからです。

4. 借金は「遅く返す」のが勝者の方程式

具体的にシミュレーションしてみましょう。

私が大学卒業時に背負う奨学金の総額が、仮に400万円だとします。 これを20年かけて返済するとしましょう。

もし今後、日本でインフレが続き、物価も給料も(希望的観測ですが)上がっていったとします。

  • 現在: 初任給22万円にとっての返済額「月1.5万円」は、結構重い負担です。
  • 20年後: インフレで初任給が30万円、40万円になっていたとしたら?

返済額の「月1.5万円」という数字は変わりません(固定金利の場合)。 つまり、給料が増えてお金の価値が下がっている未来において、月1.5万円の価値は、現在の感覚で言うと「月8,000円」くらいにまで軽く感じるようになっているのです。

これが「インフレによる借金の目減り効果」です。

逆に、今あわてて繰り上げ返済をしてしまうとどうなるか。 「今一番価値が高い(貴重な)現金」を使って、「将来価値が下がる(ゴミになる)借金」を返していることになります。

これほどもったいないことはありません。 だからこそ、低金利の奨学金は「できるだけゆっくり、時間をかけて返す」のが、インフレ時代の正しい攻略法なのです。

5. 金利差(イールドギャップ)という武器

さらに、投資家的な視点を加えます。

奨学金の貸与利率は、市場の金利と比べても圧倒的に低いです(※令和数年度の実績で0.1〜0.9%程度)。 一方で、私がNISAで運用している「全世界株式(オルカン)」の期待リターンは、保守的に見ても年利4〜5%です。

  • 借りるコスト(金利): 約0.5%
  • 増やすリターン(投資): 約5.0%

この差(4.5%)を「イールドギャップ」と言います。 理論上は、借りたお金をそのまま投資に回せば、寝ていても差額分だけ儲かる計算になります。

もちろん、奨学金は「生活費・学費」のためのものなので、直接投資に突っ込むのは推奨されませんし、私もやっていません(第15回で書いた通り、生活費口座と分けています)。

しかし、「手元のバイト代を返済に充てるくらいなら、そのバイト代をNISAに入れた方が、長期的には資産が増える」というのは数学的な事実です。

「借金があるのに投資なんて……」と躊躇する人もいますが、「借金の金利」よりも「投資の利回り」が高いなら、返済を後回しにして投資をした方が、トータルの純資産は増えるのです。

6. 親の「心配」は、最高のインフレヘッジだった

話を最初に戻します。 私の親は、難しい経済理論を知って満額借りさせたわけではないでしょう。 単純に「何かあった時のために、手元に現金を置いておきたい」という、リスク管理でした。

しかし結果として、その判断は以下の3つのメリットを私にもたらしました。

  1. 流動性の確保: 何かあった時(病気や留学など)にすぐ使える400万円の枠がある。
  2. インフレ対策: 時間が経てば経つほど、実質的な返済負担が軽くなる。
  3. 機会損失の防止: 手元の資金を返済ではなく、自己投資やNISA(余剰資金)に回せる。

親の「心配」は、図らずも「インフレ時代の最強のヘッジ(防御策)」になっていたのです。

7. まとめ:借金を恐れず、正しく管理せよ

もちろん、これは「奨学金(低金利)」だから通用する話です。 消費者金融やリボ払いのような高金利(年利15%〜)の借金は、インフレ効果以上に利息が膨らむので、秒速で返済すべきです。

しかし、もしあなたが奨学金を借りていて、「借金があるのが気持ち悪いから、一刻も早く返したい」と思ってバイトに明け暮れているなら、一度立ち止まって考えてみてください。

その「繰り上げ返済」に使おうとしている10万円。 10年後には、価値が半分になっているかもしれませんよ?

【本日のまとめ】

  • インフレ時代、現金の価値は下がり、借金(固定額)の負担も軽くなる。
  • 低金利の奨学金は「時間をかけて返す」のが、経済的に最もお得。
  • 親の「満額借りておけ」という助言は、高度な金融戦略だった。

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